【2017.4】遊戯王の環境デッキ《十二獣》がなかったことにされた理由【制限改訂】

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2017年4月からの新リミットレギュレーションが判明しました。

今回はこの新制限の考察と感想を書いていきます。

 

2017年4月~の新禁止制限

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リミットレギュレーションは上記のようになりました。

規制カードは7枚、緩和カードは11枚の計18枚が今回の改訂で変動しています。

 

《Topic①》十二獣というテーマがなかったことにされた理由

※この項目は十二獣を知らない人にもわかりやすいように書いています。

 

十二獣は皆さんご存知の通り、現在の遊戯王における環境トップでありながらデッキの「必須カード」と化している最新テーマです。

その強みは何といっても「1枚でエクシーズできる」ぶっ飛んだカードデザインにあります。エクシーズ召喚は通常、フィールドに並べた同じレベルのモンスター2体以上をコストにして行う召喚方法ですから、既存のデッキが2枚で行っている行動を1枚で行う、その異常性を理解するのは容易だと思います。

十二獣の強みその①「十二獣は1枚で好きな十二獣エクシーズになれる」

十二獣モンスターを場に出すことが出来れば、現在6種類存在する十二獣エクシーズモンスターをそのまま重ねて効果を使うことができます。さらに1体の十二獣モンスターの上に十二獣エクシーズAを重ねてエクシーズ召喚、その上に十二獣エクシーズBを重ねるなんてことが可能であるため、メインデッキに入る十二獣モンスターはどれも6種類のテキストに書いていない効果を使用可能になると言っても過言ではありません。

 最近遊戯王カードはカードパワーのインフレにより、一枚のカードが当然のように複数の効果を持っています。しかし各カードがそれぞれ役割を持っており、状況に応じて使い分けるためにはなんらかのプロセスが必要となります。例えば、相手のカードを破壊したい時、デッキに破壊効果を持ったカードを入れていてもそのカードが手札になければ当然使えません。運でドローする、もしくはそのカードをサーチする別のカードを使わなければいけないわけです。

しかし、十二獣はそのプロセスをスキップできます。6種の十二獣エクシーズは6種の効果を持っているので十二獣モンスターをドローできれば6種の任意の効果、および6種のすべての効果を使えてしまうのです。

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禁止カード《十二獣ドランシア》

エクシーズ・効果モンスター
ランク4/地属性/獣戦士族/攻   ?/守   ?
レベル4モンスター×4
「十二獣ドランシア」は1ターンに1度、同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。

特にエクシーズモンスターの《十二獣ドランシア》はエクシーズ素材をコストとして自分のターン、相手ターンに表側表示のカードを破壊できる攻撃性と防御性を兼ね備えた強力なカードです。

現在遊戯王ではゲームスピードの高速化により、相手の場のカードを破壊しつつ次の相手プレイヤーの行動を妨害するモンスターを場に出してターンを返すのが常になっています。そのため、あらゆる十二獣モンスターが相手の場のカードに臨機応変に対応して突破しドランシアという相手の妨害カードを場に出して妨害を行うのが十二獣の基本戦術です。

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制限カード《十二獣モルモラット》

効果モンスター
星4/地属性/獣戦士族/攻   0/守   0
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「十二獣」カード1枚を墓地へ送る。
(2):このカードを素材として持っている、元々の種族が獣戦士族のXモンスターは以下の効果を得る。●1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
手札・デッキから「十二獣モルモラット」1体を特殊召喚する。

また、この《十二獣モルモラット》も十二獣デッキの強さの象徴です。

十二獣の強みその②「モルモラットは1枚でドランシアとランク4エクシーズモンスターを立てられる」

このモルモラットは場に出して十二獣エクシーズを重ねるだけで場に「十二獣エクシーズ+モルモラット2体」を並べることができるモンスターです。一枚が複数枚のモンスターに変わるこの効果は言わずもがな強力であり、妨害されなければ相手とのアドバンテージの差が大きく開き、巻き返しが困難になってしまいます。

今回規制を逃れましたが十二獣のエクシーズモンスターには《十二獣ブルホーン》というデッキから獣戦士族モンスター(=十二獣)をサーチできるカードがあります。十二獣デッキは十二獣がどのエクシーズモンスターにもなれるデザイン上「十二獣を出す⇒後続の十二獣をサーチする⇒ドランシアを立てる」というアクションを一枚から毎ターン行うことが出来ます。

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《十二獣ブルホーン

カードゲームは言わずもがな手札のカードが多いほうが強いです。1:1でぶつけていくと基本的には枚数が多いほうが勝ちます。その枚数を覆すのが「コンボ」なのですが当然コンボにはリスクを伴い、失敗すると多くのカードを失ってしまいます。そんな駆け引きがカードゲームの醍醐味でもあるのですが、この十二獣は1枚引ければ十二獣エクシーズを重ねて続けてデッキに入れていない(=ドローしていない)カードが使えるわけです。その十二獣がやられてしまっても損失は1枚、やられなければカードが1枚でコンボし続け相手とのアドバンテージの差を広げ勝敗に繋がります。要は「今の遊戯王における強い動きを最小限のリスク(手札1枚)でやってくれるギミック」が十二獣なのです。

 

 始めに述べましたがすべての十二獣モンスターは1枚で十二獣エクシーズモンスターになることができるので、このゲームに《十二獣》というモンスターが存在する限り必ずドランシアを場に出すことが可能になってしまいます。十二獣を場に出すだけで相手の盤面を破壊し、制圧できることの異常性を考えると十二獣を環境から排除するために《十二獣ドランシア》の禁止はやむを得ない処置でしょう。

また、《十二獣ブルホーン》という、どの十二獣モンスターからも《十二獣モルモラット》を手札に持ってこれるカードがある以上、《十二獣モルモラット》の強力な展開を阻止するためにはそのものに規制をかける必要があります。今回の改訂で制限カードに指定されたことでその一番の強みは消されましたが、召喚成功時の十二獣を墓地に送る効果も強力であるため、改定後も一応存在意味のあるカードです。

十二獣環境を作ったのはドランシアやモルモラットが強いだけではありません。どんなに強いテーマにも弱点はあり、その弱点をつけるテーマが相対的に環境に上がってくるのが遊戯王です。しかし、その「弱点をつけるテーマにも十二獣を入れたほうが強い」現状があります。十二獣は1枚で遊戯王に求められてることをこなしてくれますから、入れたほうが強いですし何より「入れることが可能」なのです。

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禁止カード《十二獣の会局》

永続魔法
「十二獣の会局」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象としてこの効果を発動できる。そのカードを破壊し、デッキから「十二獣」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):このカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合、自分フィールドの「十二獣」Xモンスター1体を対象として発動できる。墓地のこのカードをそのXモンスターの下に重ねてX素材とする。

通常召喚権という権利が遊戯王にはあります。毎ターン基本1回、モンスターを召喚できる権利です。最近のカードは特殊召喚によって通常召喚以上の展開を行います。この《十二獣の会局》は通常召喚権の邪魔をしないため、あらゆるデッキに省スペースで十二獣をギミックに取り込むことができるようになっています。極論を言ってしまうと、通常召喚権を十二獣に割いたほうがより強いデッキが出来てしまうんですけどね。

まとめると

手札1枚で後続の確保、展開、盤面突破、相手ターンの妨害をこなせる《十二獣》はもはや汎用カードの域であり、勝利するためにはあらゆるデッキに入れざるを得ない現状にあります。

十二獣を環境から排除するためにはあらゆる十二獣から場に出すことができるドランシアの存在を抹消しモルモラットによる大量アドバンテージの獲得を不可能にする必要があり、あらゆるデッキに十二獣を出張できる汎用性を取り払うために十二獣の会局にも消えてもらう必要がありました。

 

これにて十二獣環境は強制終了です。ありがとうございました。

 

 

《Topic②》十二獣と一緒に目立ったやつらにもメスが入る

f:id:peroshirako:20170317211835p:plain制限カード《妨げられた壊獣の眠り》

通常魔法
「妨げられた壊獣の眠り」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):フィールドのモンスターを全て破壊する。その後、デッキからカード名が異なる「壊獣」モンスターを自分・相手のフィールドに1体ずつ攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更できず、攻撃可能な場合は攻撃しなければならない。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「壊獣」モンスター1体を手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない

デッキに壊獣モンスターが2枚ないと発動できないブラックホール。発動条件と構築条件がありますが使えばブラックホール以上のパワーを持ちます。現環境の理不尽な先行盤面を返すための必要悪ではありましたが、1枚でボードアドバンテージをひっくり返すそのパワーとメイン及びサイドデッキでの採用率の高さに目をつけられたのだと思われます。以前制限改訂の時期に「サンダーボルトが制限になるかも」なんて噂もありましたが、このカードを環境で体感して「それは無いな」と再認識できました。

しかしながら、十二獣が排除されても9期に産み出されたおかしな耐性持ちモンスターや制圧モンスターは山のようにいるため、このカードなしで今後やっていけるかというところは若干不安が残りますね。

f:id:peroshirako:20170317211904j:plain準制限カード《妖精伝姫-シラユキ》

効果モンスター
星4/光属性/魔法使い族/攻1850/守1000
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。
(2):このカードが墓地に存在する場合、自分の手札・フィールド・墓地からこのカード以外のカード7枚を除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

展開しながら妨害してくる危険なカード。コストが重いですがこのカードが採用されたデッキには当然のように《隣の芝刈り》が入っており、デッキ枚数を60枚にすることで芝刈りで墓地アドバンテージを稼ぎ、シラユキで展開と妨害をこなしてくる【60枚デッキ】というデッキタイプがここ最近の遊戯王では必ずいます。

f:id:peroshirako:20170317213104j:plain《隣の芝刈り》

通常魔法
(1):自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。

正直なところ、シラユキの枚数が減ってどうこうなる問題ではないと思います。なぜ隣の芝刈りが規制されなかったのでしょうか・・

f:id:peroshirako:20170317211844p:plain禁止カード《The Tyrant Neptune》

効果モンスター
星10/水属性/爬虫類族/攻   0/守   0
このカードは特殊召喚できない。このカードはモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚する事ができる。このカードの攻撃力・守備力は、アドバンス召喚時にリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値分アップする。このカードがアドバンス召喚に成功した時、墓地に存在するリリースした効果モンスター1体を選択し、そのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。

誰もが予想外であろう1枚。使い方に関しては記事にまとめてるのでご覧ください。

~やはり最近のカードの高騰は間違っている・続~『EM キングベアー』『The tyrant NEPTUNE』編 - やさしくころして

上記のコンボは十二獣があることで高確率に決めることが出来たのですが、完全にとばっちりですね。1枚2500円クラスまで高騰してたのにドンマイです。

 

《Topic③》リンク召喚での悪用防止策?ゴウフウの規制

f:id:peroshirako:20170317213943p:plain制限カード《BF -朧影のゴウフウ》

特殊召喚・チューナー・効果モンスター
星5/闇属性/鳥獣族/攻   0/守   0
このカードは通常召喚できない。自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。
(1):このカードが手札からの特殊召喚に成功した時に発動できる。自分フィールドに「朧影トークン」(鳥獣族・闇・星1・攻/守0)2体を特殊召喚する。このトークンはリリースできず、S素材にできない。
(2):このカードとチューナー以外のモンスター1体以上を自分フィールドから除外し、そのレベルの合計と同じレベルを持つ自分の墓地の「BF」Sモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをチューナー扱いとして特殊召喚する。

先日トークンがリンク召喚に使用できることが発覚し、一気に注目を浴びたカードです。

『トークンでリンク召喚はできます!!』 - やさしくころして

しかし、その強さに開発陣も気づいていたようで悪用される前にSTOPがかかりました。

リンク召喚登場後に実際に環境で使われるか、影響力があるのかは未知数だったため少し残念な規制となりました。

 

《Topic④》過去に暴れたカード達が一斉緩和、新マスタールールの影響か

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8期、9期の環境カードである《DDラミア》《爆竜剣士イグニスターP》《アーティファクト-モラルタ》が緩和。そして長きにわたり不動の制限カードとなっていた《E・HERO エアーマン》《終末の騎士》がついに緩和されました。

4月からは新制限だけでなく新マスタールールが適応されます。大幅なルール変更に際して過去の暴君も環境に適応できると判断されたのでしょう。

特にエアーマンに関しては最近のテーマがことごとく「〇〇エアーマン」と呼ばれ召喚特殊召喚時のサーチ効果を持っているにも関わらず「HERO」という理由で危険視されてきました。多くのテーマが当たり前のようにサーチしている現状ではHEROの1アドも過去ほど脅威ではないでしょう。改訂後のHEROにも期待がかかります。

 

《Topic⑤》かつての禁止カード達も続々緩和、今回はウィッチが仲間入り

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前回に緩和された元禁止カードである

《氷結界の龍 ブリューナク》《 聖なる魔術師》《ゴヨウ・ガーディアン》《洗脳-ブレインコントロール 》が環境で暴れなかったことでさらなる緩和処置が行われ、

それに加えて今回は新たに《黒き森のウィッチ》エラッタによって現カードプールへの復帰を果たしました。

ウィッチのエラッタ内容は先に緩和されたクリッター同様

「サーチ効果をターン1に制限」と「サーチカードと同名カードをこのターン発動できない」制限です。サーチ範囲は守備力1500以下とクリッターよりも高い攻撃力を持つカードをサーチ可能です。クリッターはデスガイドというアクセス手段がありますがこちらはサモンプリーストがいます。リンク召喚ではフィールドのモンスターを墓地に送って発動であるため墓地効果の発動も狙え、彼女らにとって追い風ですね。

ゴヨウやブリュに関しては十二獣環境のせいかまったく環境に顔を出さなかったためかつての禁止カードの恐ろしさが薄れ少し残念に思います。本当にエラッタが必要だったかも少し疑問ですね。

 

 

さいごに

十二獣は本当に強いテーマでした。デッキとしてだけでなくカードゲームとして見てありえない強さを持っています。しかし1枚で戦況を変えられるパワーを持つ分プレイングの難しさも生まれ、全プレイヤーがそれを活用できる今の環境はある意味の良ゲーだと感じています。

 

しかし、規制はしなければなりませんし実際に今回の制限改訂では私たちの想像を超える規制により十二獣は抹消されました。

これからは新マスタールールも開始され、新たなカード、新たな戦術を求められます。私たちは今の十二獣でバグった頭をいち早くリセットしなければならないのです。

 

 

 

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僕は店舗代表の権利が取れてないので明日からもこのシャブを満喫します。それでは

 

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